小児科ナースがケアする対象は子どもであり、まだ傷病に対する不安な気持ちをコントロールすることが難しい年齢です。したがって、小児科ナースの業務については、身体に対する診療だけでなく、小児患者のメンタル面を支えることが重要になります。特に入院患者であれば、親元を離れることになり、子どもは大きな不安を抱えています。小児科ナースは、このように脅えた子どもの心情に寄り添い、励まし続けることが必要です。小児患者を勇気づける際には、優しい声かけだけでなく、子どもの話に耳を傾け共感し不安を取り除くことが求められます。そこで、傷病に苦しむ小児患者に話しかけるタイミングの図り方や話題の選択など、きめ細やかな気遣いを小児科ナースは身につけなければなりません。
特に、治療が難航している場合には、こうしたナースのメンタルサポートが大きな意味を持ちます。小児科ナースは、カウンセラーのように小児患者の気持ちを和らげ心を穏やかにする能力が欠かせません。一方で、ナースに甘えて指示に従わない子どももいます。ナースは巧みなコミュニケーション能力を駆使して甘えを制し、小児患者が治癒に向かえるよう導かなければなりません。甘えを許せば、禁止された食べ物を持ち込んで食べたり暴れたりして、回復が遅れ命にかかわることもあるのです。不安や欲求に翻弄される子どもの気持ちを落ち着かせ、かつ言うこともきかせるのは容易ではありませんが、子どもに胸襟を開かせ適切な指示を受け入れさせることができるナースが、小児科で求められているといえるでしょう。